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プレスリリース
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2013~2015年度グループ中期経営計画
~『安定』と『成長』に向けた経営基盤の再構築~
2013年5月29日
株式会社神戸製鋼所
【1】はじめに
当社グループは、2010年度に「KOBELCO VISION “G”」を策定し、積極的な海外への事業展開に取り組んでまいりました。前中期期間におきましては、機械系事業は比較的堅調に推移した一方で、事業環境が想定を超えて悪化致しましたことから、素材系事業、とりわけ鉄鋼事業の業績が大幅に悪化しました。その結果、2012年度の連結経常損益は赤字を計上するなど、大変厳しい結果となりました。
この状況を踏まえ「2013~2015年度グループ中期経営計画」は、2020年度以降の当社グループの将来像=「KOBELCO VISION “G”」を実現するための「経営基盤の再構築」の期間と位置づけ、鉄鋼事業を中心とした収益力強化、並びに財務体質の改善に取り組みます。
また、同時に本期間は、2016年度以降の中長期を見据えた収益の『安定』と事業の『成長』に向けた布石を着実に打って行く期間でもあり、「鋼材事業の構造改革」、「機械系事業の戦略的な拡大」、「電力供給事業の拡大」などに着手します。
これらを通じて「素材系事業と機械系事業の2本柱に加え、電力供給事業を安定収益基盤とした当社グループ独自の複合経営」を強化してまいります。
【2】経営基盤の再構築
1.鉄鋼事業の収益力強化
変動費、固定費両面であらゆるコストダウン策を実現し2013年度に黒字化を達成する。更に現在実行中のコストダウン投資(新溶銑予備処理設備、高効率自家発電設備等)の効果を確実に取り込むとともに、品種構成改善や拡販により安定的な収益体質を構築する。
2.成長分野?地域での販売量の確保
前中期で拡充した海外拠点である、①自動車ハイテン鋼板の設備新設(北米)、②自動車高級弁ばね用鋼線製造の拠点設立(中国)、③アルミ鍛造部品製造の拠点設立?増強(中国、北米)、④非汎用圧縮機メーカーへの資本参加(中国)などを最大限に活用し、自動車、エネルギー、資源?環境等の成長分野及び新興国を中心とした成長地域において、オンリーワン製品?技術?サービスを中心として最大販売量を確保する。
3.体質強化活動
2012年度に立ち上げた体質強化委員会の活動により固定費、調達コスト、品質失敗コストなどの削減を図る。
4.財務体質の改善
棚卸資産の削減、債権?資産売却等により、3年間で1,200億円のキャッシュフローを創出する。
今中期期間末のDEレシオを1.3程度とする。
5.継続的な取り組み
ものづくり力、技術開発、人材育成の強化を推進する。
コンプライアンスの徹底と社会への貢献に努める。
【3】収益の『安定』と事業の『成長』に向けた布石
1.鋼材事業の構造改革 ?*添付資料1参照?
中長期的な鋼材需要を踏まえ、鋼材生産のなお一層のコスト競争力強化を図る。
2017年度を目処に神戸製鉄所の高炉などの上工程設備を休止し、加古川製鉄所に集約することで稼働率の向上と固定費の削減により大幅なコスト低減を図る。
加古川製鉄所において、最新鋭のブルーム連続鋳造設備と溶鋼処理設備を新設、分塊圧延機を能力増強し、主力品種の特殊鋼線材?棒鋼の競争力を強化する。
2.機械系事業の戦略的な拡大
圧縮機事業のグローバル展開の強化や建機事業での欧米への再参入などによる「機械系事業の戦略的な拡大」を目指す。
成長分野、成長市場において拡大する需要を確実に捕捉するために他社連携やM&Aなども視野に入れ事業展開を強化する。
グループ連携や技術融合による新製品や新事業の拡大を図る。
(水素ステーション向け商品の開発、バイナリー発電 等)
3.電力供給事業の拡大
神戸製鉄所における石炭火力発電所の建設?操業で培ったノウハウを活かし、「素材」と「機械」の2本柱に加え、電力供給事業を安定収益基盤として拡大する。
栃木県真岡市で140万kW級のガス火力発電の建設を目指し、環境アセスメントを完遂するとともに、東京電力㈱殿向けの卸売電力を想定し、2019年から2021年頃の稼動を目標に確実な受注を目指す。
神戸製鉄所で休止する高炉跡地の活用策として電力供給事業の可能性を検討する。
4.経営プラットフォームについて
事業ポートフォリオや各事業への出資形態の変化に合わせ、当社グループの最適な経営プラットフォームについても検討する。
【4】数値目標
経常利益 | D/Eレシオ | |
---|---|---|
2013年度 | 450億円 | 1.5倍程度 |
2015年度 | 800~1,000億円 | 1.3倍程度 |
10年後(2020年度近傍) のイメージ |
2,000億円程度 | 2016年度以降早期に 1.0倍以下を目指す |
【参考】各事業部門の具体的な施策
1.鉄鋼事業部門
設備投資効果やあらゆるコスト削減策の積み上げによる2013年度での鉄鋼事業部門黒字化
特殊鋼線材の現地調達ニーズへの対応強化、エネルギー分野向け厚板の拡販、自動車ハイテン鋼板のグローバル供給体制の確立(北米、中国)などによる最大販売量確保
航空機分野などでのチタン事業の強化
2.溶接事業部門
国内事業の競争力の強化(最適な生産体制へのシフト)
アセアン地域やエネルギー、海洋構造物分野での最大拡販による海外事業での安定収益の確保
溶接ソリューション開発の推進
3.アルミ?銅事業部門
自動車パネル材のグローバル供給体制構築の検討継続
自動車サスペンション用アルミ鍛造部品の北米での能力増強による日米中三極体制の強化
銅板事業における自動車端子用合金の拡販
4.機械事業部門
圧縮機を中心にしたグローバル展開の推進
グループ全体としてのものづくり力の強化
5.エンジニアリング事業部門
MIDREXプロセスの強化と最大受注量の確保
震災復興案件への貢献
ミネソタITmk3?の早期安定稼動と次期案件の構築
6.神鋼環境ソリューション
国内事業基盤の強化
水処理ビジネスを中心に伸長するアセアン地域などにおける提案型ビジネスの展開
7.コベルコ建機
欧米市場(旧CNHテリトリー)への再参入とグローバルブランドの確立
中国の需要動向に左右されないバランスのよい強靭な事業構造の確立
グローバルエンジニアリングセンターの活用による設計?開発力、ものづくり力、サプライチェーンの強化
8.コベルコクレーン
コストダウンの確実な実行とものづくり改革による製造面でのムダの徹底排除
震災復興案件への貢献や、北米、東南アジアにおける販売台数最大化
「KOBELCO VISION “G”」
多様な素材系、機械系のビジネスで培った神戸製鋼グループならではの知識?技術を更に融合することにより
グローバルな市場において存在感のある企業グループ
安定収益体質と強固な財務基盤を備え持つ企業グループ
株主?取引先?従業員?社会と共栄する企業グループ
の3つを将来の神戸製鋼グループ像として目指していくもので、業績の水準としては2020年頃に売上高3兆円、経常利益2,000億円超えをイメージし、積極的なグローバル展開により海外売上比率が50%程度になると想定しました。